と言うことで昨夜はプチ引きこもり。現実逃避をしたのであった。山田正紀の「人喰いの時代」を読む。読み終わる。
これは傑作である。大傑作である。ミステリ好きにはぜひ読んでもらいたい。
満州事変直後の日本、北海道の某O市が舞台のミステリ。短編集で、5編収録されている。最初の4つは月刊誌に不定期に連載され、5編目は単行本化に際して書き下ろされたとのこと。そして5編目は少し長く、むしろ中編と呼んでもいいくらい。なぜ5編目が長いのか?、は、この本のネタの1つだったりもする。
各短編(中編)はミステリとして完成度が高く、単独でも楽しめる。そして、それぞれは連作形式でもあり、全編を最後まで読み通すと別の話が浮かび上がってくるのだ。そういう意味では長編小説の各章に相当するかもしれない。さらに、ミステリとして読み終わりつつも、登場人物たちの行動や事件の背景について考えてみると、「娯楽小説」という枠組みを超えて、日本という国について考えさせられたりもする。私の貧しい文章力では魅力がなかなか伝えられないかもしれないな。申し訳ないです。とにかく、本書のような完成度の高い作品に遭遇するといつも、オレはこういう仕事をしたいのだよ、と思う。
今は事情があり、スモールペーパーを出しまくっているのだけれど、これらの連作で大きな仮説を示そうとしていて、そのためレビューを出そうとしているのだ。デカい論文(長編)を出しつつ、小さい論文(短編)も出し、レビューによってそれらを有機的につなげることができたら、やりがいがあるだろうな。頑張ろう。
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