今日もいつも通りに自分の実験をしつつ、デパートメントの仕事をこなしつつ、の一日。昼、セミナーに参加。有名な先生らしいけれど、自分的にはデータが弱く???だった。某ファカルティも来ていて、セミナーの合間にサイエンス誌を読んでいた。この人は科学が好きなんだなぁ、と思い、セミナー会場を見回すと、学生の多くはマックを開いており、セミナーの内容を猛烈な勢いでタイプしていたり、あるいは分からない用語を検索していたりする。つまり、皆、科学が好きなのである。私も科学は三度の飯よりも好きで、と書きたいところだが、よく考えるとそれほど好きではない。自分の研究には異常に興味があるけれど、それ以外でエキサイトするような研究は、実はあまりない。多くの場合タイクツであり、論理の甘さが目立ち、つまり何も感銘を受けない。
「騎士団長殺し」はとんでもない傑作で、今は第二部の半分を過ぎたあたり。そのパワーはものすごく、グイグイと引き込まれ、まさにページターナーだ。というかこれは本当に大傑作だ。以前書いたように系列としては「ハードボイルドワンダーランド」と「ねじまき鳥」に連なっていると思うけれど、さらに左右に「カフカ」と「1Q84」が展開しており、さらにさらに「多崎つくる」や「蜂蜜パイ」等の中編や短編のアイディアもぶち込んで、つまり、これまでの彼の集大成になっている、ような気がする。
僕は思うのだけれど(という分が書きたくなる)、彼は1つの作品ごとに新しいテクニックを丁寧に試しているのだと思う。つまり1つ1つ技術をしっかり磨いて、言いたいことをさらに深めている。そして「騎士団長殺し」でそのすべてを動員しているのではないか。
私の研究分野で例えるならば、生化学の技術を学んでJBCを出し、分子生物学の論文をNARに出し、動物実験でJCIを出し、細胞生物の手法でJCBを出し、免疫のテーマでJIを出し、そしてそれらの経験をすべてぶち込んでNatureだ!、みたいな感じ、かもしれない。「騎士団長殺し」に比べればNature1報は大したことないけれど。
なんてことを思いながらその退屈なセミナーを聴いていて、そういうオレはここにいる人たちとは随分と違うのだろうなハハハ、と思うのだった。
0 件のコメント:
コメントを投稿